調べてみると、横浜市と東京都には同じ町名がいくつもありますが、 東京の地名を横浜が借りた、あるいはその逆という例は、今回確認した範囲では見当たりませんでした 。同じ漢字になっていても、それぞれの土地で独立して生まれたケースが大半です。
外部発表で使えるよう、今回は特に由来を資料で追いやすい7組を中心に整理しました。なお、「池袋」のように由来が確定していないものについては、伝承と確認できる事実を分けています。
| 地名 | 横浜市 | 東京都 | 同じ名前になった理由 |
|---|---|---|---|
| 池袋 | 中区 | 豊島区 | 偶然。横浜は旧字名、東京は古くからの村名 |
| 浜松町 | 西区 | 港区 | 偶然。横浜は海辺の松、東京は浜松出身の名主 |
| 大久保 | 港南区 | 新宿区 | 別系統。ただし双方とも「窪地」と関係する可能性 |
| 青葉台 | 青葉区 | 目黒区 | 独立して命名。どちらも緑豊かな景観をイメージ |
| 桜台 | 青葉区 | 練馬区 | 独立して命名。どちらも「桜」が理由 |
| 大和町 | 中区 | 中野区 | 完全に別。横浜は商店の屋号、東京は「大きな和」 |
| 弥生町 | 中区 | 中野区 | 完全に別。横浜は唱歌、東京は弥生土器 |
この並びだけでも、 「同じ漢字だから同じ由来」とは限らない ことがよく分かります。
横浜の池袋は1933(昭和8)年4月1日、根岸町の一部から新設されました。
重要なのは、横浜市が明確に 「町名は字名を採った」 としている点です。つまり、東京の池袋を意識して新しく命名したのではなく、根岸村・根岸町時代から存在していた地域内の小さな地名「池袋」をそのまま町名に昇格させたものです。
横浜市は地名研究上の説明として、「フクロ」は 袋状になった小地形 を意味すると紹介しています。したがって「池+袋」という地形的な名称だった可能性があります。 横浜市公式ウェブサイト
横浜市中区「中区の町名とその歩み(あ行の町名)」
一方、東京の池袋はかなり古い地名です。豊島区によれば、1559(永禄2)年の『小田原衆所領役帳』にすでに 「池袋」 の名が現れています。つまり少なくとも戦国時代には定着していました。 豊島区公式サイト
有名な説が「丸池」です。現在の池袋駅西口付近には弦巻川の源流となる丸池があり、豊島区も「丸池は『池袋』の地名となったとも言われています」と紹介しています。ここは重要で、区自身も 確定した由来ではなく伝承・説として記述しています 。 豊島区公式サイト
豊島区「元池袋史跡公園」
豊島区「区の歴史・年表」
発表時の表現案:
横浜の池袋は根岸にあった古い字名を引き継いだもの。一方、東京の池袋は戦国時代にはすでに確認でき、丸池に由来するという説がある。二つの池袋に直接の関係は確認できない。