20代30代の現役世代が地域活動に参加する上で最も大きな障壁となっているのが、仕事との両立問題である。調査によると、ボランティア活動への参加の妨げとなる要因として「参加する時間がない」が45.4%と最も高く、「参加するための休暇が取りにくい」も27.1%に上っている[22]。特に働き盛りの世代においては、長時間労働により地域活動に参加する余裕がない状況が指摘されており、欧米のように働き盛りの男性も地域や教会の活動に参加している状況とは大きく異なっている[14]。
さらに、20代から30代の働いている世代に地域のまちづくり講座などに参加してもらおうとしても「なかなか来ない」「来てくれたとしても、続かない」という課題が多くの自治体で共通して抱えられている[1]。この背景には、現役世代がお金を稼ぎたい世代であることと、地域活動が面白くないと感じられていることが挙げられている[1]。
現役世代の地域活動参加を促進する有効な手段として注目されているのが、職業上のスキルや知識を活かした期間限定のボランティア活動である「プロボノ」である[6][10]。プロボノの特徴として、活動期間や責任範疇が明確であることが現役世代には参加しやすいボランティア形態である可能性が示唆されている[10]。
青森県では「青森プロボノチャレンジ」を実施し、企業等で働く現役世代の社会貢献参加を促進している[6]。2020年度からは首都圏在住のプロボノワーカーが「ふるさとプロボノ」として参加する取り組みも開始し、地域の団体支援に取り組んでいる[6]。川崎市では、プロボノを通じて「自分の技術で社会貢献ができる他、新たな経験や人脈の拡大で自己成長や地域での居場所作りができる」メリットが認識されている[7]。
企業レベルでも現役世代の地域活動参加を支援する取り組みが進んでいる。具体的には、従業員が地域活動に参加する日に通常の勤務時間を調整できる制度の導入、地域活動への参加を積極的に奨励し特定の時間数を超えた活動には報奨金や追加休暇を提供する制度、リモートワークとの組み合わせによる時間と場所の柔軟性を高める取り組みなどが実施されている[8]。
企業のCSR活動を通じて現役世代が地域活動に積極的に携わることにより、「現役世代も地域の活動を通して企業での就労以上により豊かな生活を感じることを可能とする」効果が期待されている[3]。
新型コロナウイルス感染拡大を機に普及したテレワークは、地域活動と仕事の両立において新たな可能性を提供している[17]。地方創生テレワークの取り組みでは、東京圏の企業に勤めながら出身地や縁のある地域に移住や滞在をして、テレワークで仕事をしながらその地域の活性化や復興などの取り組みを行う事例が増加している[17]。
複数自治体が連携し、育児等の事情を抱える地域住民の就労機会創出として、テレワーク就労支援共同体を構築する取り組みも実施されており、働きたい人が個人の生活条件に合わせた働き方ができる社会の実現を目指している[19]。
職業別のボランティア活動経験率を見ると、「公務員・団体職員(教職員を含む)」が27.3%、「自営業・家族従業者(農業・漁業を含む)」が26.4%と20%台後半で高い参加率を示している[22]。一方、「会社員」は13.9%と前二者と比べて10ポイント以上低い参加率となっている[22]。
千葉県の調査でも、「自営業」「教員、公務員」「自由業」で地域活動への参加率が高いことが確認されている[21]。これらの職業に共通する特徴として、比較的時間の融通が利きやすいことや、職業上地域との関わりが深いことが挙げられる。
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